2012年05月03日

例のやつのアラスジ紹介など

2012年の3月、

私、朱時卍時は晴れて

某大学芸術学部放送学科((笑))を卒業することができました。

その際、

学部奨励賞という賞をいただいたのですが、

どうにも、簡略に説明すると

その年度年度でエキセントリックな作品制作をした人に
(良く言うと斬新な作品をつくった人に)

「うわ、ヒドイ作品! いいぞもっとやれ!」
(前衛的だね! 頑張って!)

というテンションで与えられる賞らしいのです。

せっかく貰ったので、

このブログで紹介しないのもなんだなぁと思って

本日遅ればせながら記事として書いてみました。

全文掲載するのは量があって大変なので、

アラスジを読んで興味のある方は連絡ください。

即日、データで転送いたします!!


ってなわけで以下アラスジです。




卒業制作脚本

「塔よ、そびえ立て!」





《あらすじ》




東京の出版社勤務でEDの主人公、秋田尭律(26)はある日、フクシマ行きの取材を上司に命じられる。激しいデモで死傷者が出ている報道などがあったことから、気乗りしない秋田だったが、しぶしぶフクシマへ行くことになる。



しかし、到着したフクシマで秋田は奇怪な歌声に導かれ、原発事故で地図の上から消されたはずのナミエ村へ迷い込んでしまう。そこで秋田は村のあちこちにいる奇妙な住人達に翻弄されていく。落ち武者や三番叟、奇怪な姿の住人で溢れるナミエ村、気が触れた人間が収容されたヒトヤ村の間を彷徨う内に、秋田はヒトヤ村で奇怪な歌を歌いながらオムライスをつくっている老人に出会う。老人の言動と歌声に、秋田の記憶が断片的に蘇る。老人は秋田の実の父親で、幼少期に秋田をアナルファックしていたのだった。 



自身の記憶に吐き気を催す秋田に殺してくれと訴える父親。気味が悪くなった秋田は逃走するが、「殺してくれ」というフレーズから、自分が父親を「ひざかっくん」によって殺害していたという衝撃的な過去を思い出す。ありえない記憶に茫然としていると、そこに眼球を咥えたカラスがやってくる。眼球をきっかけにして秋田は別の記憶、父親殺害の真相を思い出す。父親は秋田をアナルファックした罪悪感から「殺してくれ」と自ら頼みこみ、息子から殺害されることで自身の贖罪、息子への罪の転嫁を謀ったのだった。秋田は蘇った記憶の氾濫によって混乱し、ナミエ村、ヒトヤ村が何のためにある場所なのか、を問いながら村の間を彷徨う。やがて現れたカラスの啓示を受け、ナミエ村は恨みを深層で抱えている者達、ヒトヤ村は人知れない恨みによって呪われている者達の閉じ込められた村であることに気づく。そのことを悟った秋田は、父親を含めたあらゆる村の者達を「赦す」ことで村人、ひいては自分も抱えた業からの脱却を図る。



「赦し」た瞬間、秋田はフクシマ国ニューナミエ・タウンに戻り、EDが回復。


 

 世界は新しく前に進むため、生まれ変わっていた。




ちなみに75分もの(笑)

映像化、舞台化したいって人是非、連絡お待ちしています!
posted by 朱時卍時 at 11:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 脚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月28日

遂に商業誌、デビュー

今回は趣旨を変えて告知です。

このたび、五月十二日発売[予定]の商業誌にて、

私、朱時卍時が脚本家、小説家としてデビューさせていただくことなりました。

詳しくは、紙面のURL等の情報を得次第お伝えいたします



2011041716370000.jpg


続報を待て!

いや、待って。。。

待ってよ。。。

待っててください。。。

お願いします。。。

ラベル:カルト 脚本 告知
posted by 朱時卍時 at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月24日

夏目漱石「夢十夜」脚色『アバドンの月』

「アバドンの月」     

登場人物

優希[本田守][29]ニューハーフ美女縄師
浜田庄太[32]殺人鬼・電気工
洋平[6]メクラの少年・カーナビ
神田夏子[33]闇医者
豚男
ドンキの店員
タクシー運転手
通行人
町会長







「アバドンの月」
○三夜横町・路地[早朝]
   典型的な土屋街の商店街。
   みすぼらしい店が建ち並ぶ。
   優希[29]、豚男1を踏んでいる。
   その周りには縛られた12人の男が転がっている。
   優希、派手な衣装を着ている。
   豚男1、ギャグボールをくわえ、縄で縛られ、額づいている。
優希「ねんねーこ、ねんねーこ、ねんねーこや、穴の底なら寝やすかろ♪」
   優希、豚男1の縄を締め上げる。
豚男1「(野太い嬌声)」
優希「(高笑い)」
○同・長屋「玉兎荘」・優希の部屋
   ワンルーム。
   汚れたベッドと鏡台、ラジオがある。
   衣類ケースが箪笥代わり。
   鏡台の上には写真立てとトロフィー。
   写真にはトロフィーを持った優希の姿。
   ドレス姿で「ミス歌舞伎町」の襷を掛けている。
   壁にはドリアンを持った白雪姫と七人の小人の絵とドクターイエローのポスターが貼られている。
   ベッドに白雪姫の人形が転がっている。
   優希、ネグリジェをまくっている。
   腋に深い切り傷がある。
   優希、縫い針で傷口を縫合している。
   部屋の扉が開く。
   優希、慌ててネグリジェを着る。
   豚男1、膝をつきながら部屋に入る。
   ギャグボールをくわえ、油紙の包みを抱えている。
   豚男1に気づく優希。
   豚男1、包みをベッドの端に置く。
   優希の顔をのぞき込む。
   優希、頷く。
   豚男1、優希に背を向ける。
   優希の顔を見る。
   立ち去る。
   閉まる扉。
   優希、ベッドの上に転がる。
   扉が開く。
   神田夏子[33]、中に入ってくる。
   汚れた白衣のポケットに両手を突っ込んでいる。
   首から聴診器を掛けている。
   優希、不安げな目で夏子を見る。
   夏子、優希のベッド端に座る。
優希「どうだった?」
   夏子、ポケットからタバコを取り出す。
   優希の顔を見る。
   タバコをしまう。
優希「別に吸ってもいいわよ」
夏子「いや、いいよ」
優希「……」
   夏子、ちらちらと包みを見る。
夏子「……ねえ、それ、食べないの?」
   優希、上半身を起こす。
優希「一緒に食べる?」
   優希、包みを開く。
   いなり寿司と沢庵がある。
夏子「お、い、し、そ〜♪」
   夏子、いなり寿司を手に取り口に運ぶ。
   優希、夏子を目で制す。
   夏子、いなり寿司を包みに戻す。
優希「(小さく笑う)……責めないよ?」
夏子「……ゴメン。つては当たったんだけど」
優希「……いいわよ、もう」
   優希、トロフィーを見つめる。
夏子「だってさあ」
   夏子、ポケットから古新聞を取り出す。
夏子「ほらここ」
   夏子、新聞の記事を指さす。
   「異常性愛者排除法施行」の見出し。
優希「ラジオで聞いた」
夏子「全部イシワラ都知事が悪いのよ」
優希「……そうね」
夏子「あのキチガイじじい!」
   夏子、新聞を床に叩きつける。
優希「あの人たちからしたら私たちがキチガイなのよ」
夏子「(怒りのこもった短い叫び)」
   夏子、いなり寿司2個を口に詰め込む。
   食べながら泣く。
夏子「ごめん優希、誰も……売ってくれなかった……この町の、人間にはっ……」
優希「さあ、診察して頂戴」
   優希、ネグリジェを脱ぐ。
   夏子の傍に寄る。
○庄太の部屋・内
   閉め切った薄暗い部屋。
   ツギハギの革製家具が並ぶ。
   浜田庄太[32]革ソファに座す。
   Tシャツにジーパン姿。
   血の付いたレンチを布で磨いている。
浜田「どんどんどん、どーんきーどんき、ぽんて♪」
   浜田の足下に若い女の屍がある。
   屍の頭から血が流れている。 
   浜田、レンチを脇に置く。
   ポケットからメスを取り出す。
浜田「どんなのにしようか〜」
   浜田、メスを屍の頬に当てる。
浜田「君は、鞄が欲しいって言ってたっけ」
   浜田、座っている場所を少し変える。
   浜田の座っていたところの革が見える。
   女の顔の皮が張られている。
   顔の穴から綿が漏れている。  
   浜田、ソファの女の顔を見る。
浜田「この人はいつも僕を見下していたんだ、今は見上げっぱなしだけどねぇ」
   浜田、漏れた綿を詰めなおす。
浜田「鞄にしてもいいかなぁ〜」
   浜田、身をよじらせる。
○三夜横町・長屋「玉兎荘」・優希の部屋
   優希、夏子、ベッドの上で寝ている。
   優希、目を醒ます。
鏡台に向う優希。
   優希、顎をさわる。
   うなだれる優希。
   短いヒゲが顎から生えている。
優希「濃くなってる(呟く)」
夏子「ホルモン剤が切れると、どうしてもね」
   夏子、体を起こしている。
優希「終りかぁ」
夏子「……」
優希「夏子、ありがとね」
   優希、衣類ケースの底から写真に写っていたドレスを引っ張り出す。
夏子「?」
優希「女に見えるうちに一寸ね」
夏子「一応、縫っといたけど、あんまり激しく動いちゃダメよ」
優希「私、そんなに激しい?」
夏子「たまに」
優希「(笑う)」
夏子「あと、自分で縫わないで? 頼むから」
優希「分かった」
○同・路地
   早朝より賑わっている。
   定食屋が混んでいる。
   土木建築系の服装の通行人が多い。
   優希、男性の通行人が横を通る度にまじまじとその姿を見ている。
   ドレス姿でケバいメイクをしている。
優希「はぁ……」
   優希、近くの電柱に寄りかかる。
   豚男2、電柱の影から顔を出す。
   手足がない。
   小児用ワンピースを着ている。
豚男2「おやぁ、優希様じゃあないですか?」
   優希、声にハッとして豚男2を見る。
優希「芋虫・・・・・・」
豚男2「ここんとこ、ご無沙汰しとりやすぅ……それにしても、めかし込んでますねぇ、上客でも出来たんで?」
優希「そんなことないよ(自嘲気味に笑う)」
豚男2「(乾いた笑い)」
優希「それじゃあね」
   優希、豚男2に背を向ける
豚男2「それじゃ。また縛って下さいまし!」
   優希、その場から去っていく。
豚男2「もっともお足の方はないんですがね」
   豚男2、転げまわる。
豚男2「(不気味な笑い)」
○同・長屋「玉兎荘」・優希の部屋
   優希、ベッドの上に座って俯いている。
   左手にはイチジク浣腸。
   脇にウォッカのボトルが転がっている。
優希「オカマと心中する奇特な男なんて、こ 
の町にもいないか」
   優希、浣腸を見つめる。
優希「一人……オカマらしく死のう」
   優希、鏡台の上の写真を見る。
   浣腸にウォッカを注ぎ込む。
優希「歌舞伎町は良かったなぁ・・・・・・」
   優希、自分に浣腸をする。
優希「・・・・・・ドンキとかあってさ・・・・・・」
   優希、力なく倒れる。
○同・長屋「玉兎荘」前[夕]
   朽ちかけた門がある。
   野次馬達が門の前に集まっている。
野次馬1「オカマが自殺したらしいぜ」
野次馬2「オカマなんて死んだ方がいいんだ」
野次馬3「その通り、目的論的弁証法を用いるなら、いない方が世のためだ」
野次馬達「(笑う)」
   門の中へ駆け込んでいく豚男1。
   ギャグボールを首から下げている
豚男1「優希さまぁぁあ!」
○同・長屋「玉兎荘」・優希の部屋[夕]
   優希、ベッドに仰向けで倒れている。
   夏子、豚男2がベッド周りにいる。
   豚男1、部屋に駆け込んでくる。
豚男2「遅かったねぇ」
   豚男1、優希の足にすがりつく。
豚男1「ああ、また踏んでくださいまし!」
   豚男1、泣き崩れる。
   夏子、豚男1の肩に手をやる。
   町会長が部屋に入ってくる。
町会長「あんた達、ここん人の知り合い?」
夏子「まあ、そのようなものです」
町会長「悪いんだけどさ、いま共同墓地が一杯なのよ、自分らで埋めてやってくんない」
○ドンキぽんて・外観[早朝]
   ペンギン型のデパート。   
○ ドンキぽんて・内・家具売場
   家具が並ぶ。
   豚男1、夏子、優希を抱えている。
   豚男1、辺りを見回す。
豚男1「キレイな場所だ……」
   夏子、溜め息をつく。
夏子「優希、ここ好きだったな(呟く)」
   優希、指先をひくつかせる。
   店員、二人を見る。
   豚男1、夏子、天蓋付きのベッドの上に優希を寝かせる。
夏子「こんなところでゴメンね」
   豚男1、首を傾げる。
   豚男1、夏子、手を合わせる。
   立ち去る。
   店員、優希に近づく。
   優希を抱えて、立ち去る。
○歌舞伎町・繁華街[夕]
   賑わい始めた夜の町。
   浜田、スーツ姿で歩いている。
   ポケットにはレンチ。
   浜田、レンチを弄ぶ。
   すれ違う女性通行人の顔を見る。
浜田「ん〜20点」
   浜田、すれ違う女性通行人の顔を見る。
浜田「んっん〜47点」
   浜田、パチンコ屋のキャンペーンガールを見る。
浜田「うわ、ひどい、ん〜5点」
   浜田、キャバクラの看板を見る。
   綺麗な女性達の写真が張られている。
   浜田、ポケットのレンチを握りしめる。
   レンチをさする。
浜田「どうしてこういう女がいないのよぉ!」
   浜田、レンチを激しくさする。
浜田「このタっカビーな顔! 僕の靴につけたら、きっとすてきなのに!」
   通行人、浜田を訝しげな目で見る。
○ドンキホーテ・内・遺体売場[夕]
   棚やワゴンに遺体が積まれている。
   ワゴンには「爆安キャンペーン」のフリップがついている。
   店員、優希をワゴンの中へ置く。
   優希、顔を一瞬しかめる。
   優希に一万円の値札が張られている。
   浜田、棚の遺体を物色している。
浜田「くそっ」
   ワゴンの前で立ち止まる。
   不機嫌そうな顔つき。
   優希に気づく。
   口角をつり上げる。
   浜田、優希を抱え上げる。
○道路・タクシー内[黄昏]
   浜田、膝上に優希を寝かせている。
   上機嫌といった表情。
   運転手、洋平[6]を背負っている。
   浜田、洋平を見る。
   洋平、固く眼を閉ざしている。
浜田「もう長いのかい?」
洋平「ずうっと昔からさ」
浜田「この道で平気そうかい?」
洋平「次の角を左だよ」
浜田「どうしてわかる?」
洋平「……」
運転手「お客さん、着きましたよ」
   浜田、洋平を睨みつける。
浜田「アバドンのくせに……」   
○庄太の部屋・内[夜]
   薄暗い室内。
   床上に女の屍が仰向けに転がっている。
   浜田、優希をベッドに寝かせる。
   優希の体に手を這わす。
浜田「君は、裏切らないよね」
   浜田、優希のドレスを脱がし始める。
   優希、小指をひくつかせる。
○ 同[朝]
   陽が差し込んでいる。
   浜田、優希に寄り添っている。
   浜田、優希それぞれ半裸。
   優希、仰向けで胸が垂れていない。
   床上の屍、優希と浜田を見つめている。
   浜田、優希を抱き寄せる。
浜田「大好きだよ、大好きだよ、大好きだよおおおん♪ ずっと一緒にいようねえっ」
   浜田、優希の不自然な胸に気付く。
浜田「あれえ、なんで、どうしてこんなに張
りがあるのお〜?」
  浜田、優希の胸をいじくり回す。
  優希の胸の傷口が開いて出血する。
浜田、手を放す。
   手に血が絡みついている。
   優希の腋の傷口が開いて出血している。
   浜田、優希の胸を指さす。
浜田「ああ〜! あっ! あっ!」
   浜田、優希の両肩を押さえる。
浜田「騙したのか! 君も! 僕を!」
   浜田、優希を殴る。
浜田「信じてたのにぃいい」
   浜田、泣きながら優希の頬を殴る。
浜田「みんなが僕を裏切るんだぁあ!」
   浜田、優希の頬を殴る。
   優希、顔を顰める。
   浜田、たじろぐ。
   枕の下からレンチを取り出す。
優希「(小さく呻く)」
   優希、薄く目を開く。
優希「(呻く)」
   浜田、レンチを後ろ手に隠す。
   優希、浜田を見つめる。
優希「・・・・・・だれ?」
   優希、首だけ動かし辺りを見回す。
   床上に女の屍を見つける。
   浜田、優希から女の死体が見えないよう、優希の前に立つ。
浜田「(困ったような笑い)」
優希「いや……見えたけど」
浜田「(困ったような笑い)」
優希「見えましたよ?」
浜田「(困ったような笑い)」
優希「あの人……」
浜田「(困ったような笑い)」
優希「殺したの?」
浜田「(和やかな笑い)……うるせえな! 殺したよ! 殺しましたよ! この僕が! あんまり鞄買ってってうるさかったから、ムカついて! 衝動的に、極めて短絡的な殺害理由によって、殺しましたよ!」
優希「で……どうするのその死体?」
浜田「コレから鞄にするんだよ! お前もな! 革靴か何かにしてやるからな!」
優希「手伝おうか?」
浜田「はあ?」
優希「だから、鞄作り」
浜田「(困ったような笑い)」
優希「丁度、死にたいと思ってたのよ。ていうか死んだと思ったら生きてたし、殺してもらえるなら都合がいいわ」
浜田「はあ? こっちの都合も考えろよ」
優希「逃げないからさ、いいじゃん」
   浜田、溜め息をつく。

○ドンキぽんて・内・家具売場[朝]
   豚男1、豚男2を負ぶっている。
   豚男3、4、5、6、7が豚男1の後ろを歩いている。
   豚男3、猫耳少女の着ぐるみ姿。
   豚男4、ガスマスクをつけている。
   豚男5、ベビー服に革靴で、おしゃぶりを咥えている。
   豚男6、褌姿で上を向いている。
   豚男7、半裸で体に蟹を巻きつけ、マントを羽織っている。
豚男1「こっちだ」
   豚男1、ベッド売場で立ち止まる。
豚男3「どうしたにゃ?」
豚男1「いない」
豚男2「勘違いしてんじゃあねえのかい?」
豚男1「そんな、確かに……」
豚男2「捨てられたかぁ」
豚男7「(不気味な笑い)」
豚男5「そんなぁ、ここは天国なんでちょ?
豚男2「確かに、でも俺たちのじゃあない」
豚男1「……」
豚男5「お墓は作ってあげまちょうよ」
豚男1「どこに?」
豚男2「あの辺はどうかねぇ」 
   豚男2、仰け反って舌を上に突き出す。
○ 庄太の部屋・内(朝)
   浜田、優希、女性の顔の皮が張られた鞄を眺めている。
浜田「アバドンにしては上出来だ」
優希「底なし穴に住む者にしてはなかなかでしょ。じゃあ、次は私の番ね」
浜田「……君は何がいい? 鞄? 靴?」
優希「……人形がいいわ」
○ドンキぽんて・内・人形材料コーナー
   球体関節人形とその材料が並ぶ。
優希、浜田、歩いている。
浜田のポケットからレンチが覗く。
浜田「人形は初めてだからな」
優希「上手くなくてもいいわよ」
○同・屋上[夕]
   柵が低く、広い屋上。
   子供用電車が走っている。
   豚男1、2、3、4、5、6、7が泣きながら祠を作っている。
   粗大ゴミと木片で出来たピラミッド型のもので、真ん中に壊れたテレビが埋め込まれている。
豚男1「ここに優希様を奉ろう」
豚男3「ユッキーは良く踏んでくれたニャ」
豚男5「縛り方も一流だったのでちゅ」   
   豚男7、涙を浮かべる。
   豚男達、作業をやめる。
   豚男1、ポケットから縛る用の縄を取り出し、テレビの前に置く。
   豚男達、祠を中心に跪く。
豚男1「これより、追悼の歌を歌う」
豚男達「ねんねーこ、ねんねーこ、ねんねーこや、穴の底なら寝やすかろ♪」
○同・内・休憩室
   ベンチ横に買い物袋が積まれている。
浜田、優希、ベンチに腰掛け、ソフトクリームを食べている。
   浜田、本「人形作りの極意」を食い入るように読んでいる。
   優希、上を見る。
   電車が走っている音がする。
優希「ねえ」
浜田「ん、なんだよ」
優希「ちょっと屋上行ってみたいんだけど」
浜田「なんで?」
優希「電車が走っているからよ」
浜田「電車か、それじゃあ仕方ないな」
○同・内・屋上扉前[夕]   
   小さな電車が留まっている。
浜田、優希、電車に乗り込む。
   手には乗車券。
   屋上の扉が開く。
   動き出す電車。
○同・屋上[夕]
   優希、浜田、電車に乗ってやってくる。
浜田「やっぱり電車はいいものだ」
優希「そうね、アバドンの私もそう思う」
   豚男一同、二人を見る。
豚男1「優希様?」
豚男3「死んでなかったのニャ」
優希「……なにそれ」
   優希、電車から飛び降りて祠に近づく。
   浜田、優希の後を追う。
豚男2「今、あなた様のミサをしていたところでさぁ」
優希「……」
浜田「なんだコレ〜」
  浜田、豚男2を指差す。
豚男2「おまえこそ何だってんだぁ」
浜田「アバドン野郎めぇ!」
優希「……」
豚男2「優希さまぁ! 何とか言ってやってくだせえよぉ!」
優希「……」
浜田「(下品な笑い)」
   浜田、レンチで優希の腹を殴る。
優希「(呻く)」
   優希、うずくまる。
   浜田、優希を蹴りとばす。
優希「……」
浜田「こいつは僕に殺されたいんだって! 死にたくて死にたくてたまらないの! 僕はこいつを殺したくてたまらないのよ! こいつはこれから僕のお人形になるんだから! 分かる? 君達アバドンにこの崇高なる愛情表現が!」
   浜田、優希を蹴り、豚男達に近づく。
   後ずさる豚男達。
浜田「君たちみたいのはいちゃいけないんだ」
   浜田、豚男1をレンチで殴る。
   倒れる豚男1。
浜田「僕の眼が汚れちゃうもん」
   浜田、豚男2を踏む。
豚男2「(呻く)」
   浜田、豚男2を蹴りつける。
豚男2「(力なく笑う)」
浜田「どんどんどん、ど〜んき〜♪」
   浜田、豚男達を片っ端から殴っていく。
   倒れていく豚男達。
   優希、浜田を睨みつける。
優希「ねんーねこ、ねんねーこ♪(弱弱しく)」
浜田「どんき、ぽんて♪」
優希「ねん……ねこや♪」
   豚男2、浜田の足にかみつく。
   浜田、バランスを崩して転倒する。
豚男2「もっと上手に蹴ってくれぇ」
   豚男達、倒れた浜田に襲いかかる。
優希「穴の……底なら、寝やすかろ♪」
   豚男達、ニヤケ始める。
豚男達「(不気味な笑い)」
   浜田、レンチで豚男達を薙払う。
   豚男達、笑いながら倒れる。
豚男達「(不気味な笑い)」
優希「底が……ないなら、寝やすかろ♪」   
豚男3「今のいいよぉっ」
   豚男達、浜田を襲う。
   浜田、レンチで豚男達を薙払う。
豚男1「ああ、良くなってきた」
豚男3「筋がいいねぇ」
   浜田、レンチで豚男達を薙ぎ払う。
豚男達「(不気味な笑い)」
   日が暮れる。
   浜田、豚男達を薙ぎ払う。
   日が昇る。
豚男達「(不気味な笑い)」
   日が暮れる。
   浜田、豚男達を薙ぎ払う。
   日が昇る。
   優希のヒゲがのびる。
豚男達「(不気味な笑い)」
   日が暮れる。
   浜田、豚男達を薙ぎ払う。
   日が昇る。
豚男達「(不気味な笑い)」
   日が暮れる。
   浜田、豚男達を薙ぎ払う。
   日が昇る。
豚男達「もっと(不気味な笑い)もっと」
   日が昇り、暮れる。
   浜田、豚男達を薙ぎ払おうとして転ぶ。
   日が昇り、暮れる。
   優希のヒゲが伸びている。
   浜田を取り囲む豚男達。
   浜田、豚男1の脛をレンチで叩く。
   豚男1、うずくまる。
   浜田、立ち上がり、笑みを浮かべる。
   豚男1に近づき、レンチを掲げる。
浜田「(狂気じみた笑い)」
豚男1「(力なく笑う)」
豚男達「(不気味な笑い)」
   優希、駆け出す。
   豚男1の前に立つ。
浜田「(狂った笑い)」
   浜田、優希の胸にレンチを降り下ろす。
   腋の傷口から胸が裂け、シリコン液が飛び散って、浜田の両目に入る。
浜田「(悲痛な呻き声)」
   浜田、レンチを振り回しながら、左手で目を押さえ、転ぶ。 
   頭を強く打つ。
   浜田、力なく転がる。
   胸を押さえ、立ち尽くす優希。
   優希、目を見開く。
   豚男達、優希を囲み、手を合わせる。
   目を閉じて拝む。
○三夜横町・路地
   賑わっている。
   雅楽風の音楽が町に流れている。
   夏子、電柱に寄りかかりタバコをふかしている。
   豚男1、3、4、5、6、7達、山車を背負ってやってくる。
   花が鏤められた山車。
   豚男1が先頭で背負っている。
   首にホラ貝を下げている。
   洋平、浜田、山車上の前方に正座して前後に揺れている。
   二人とも白装束。
   浜田、おでこに熱さましのシートを張っていて、両目がくり貫かれている。
   山車の後方には御簾が掛かっている。
   中に人影、表情はわからない。
洋平「次になにが起こるか分かるかい?」
浜田「……分かりません」
洋平「鷺が鳴くよ」
   鷺が電柱に止まって鳴く。
洋平「精進がたりんな」
浜田「へえ、にわかなものでして」
洋平「百年やりな」
浜田「へえ、そのように」
   豚男1、ホラ貝を吹く。
   夏子以外の通行人、皆跪く。
   山車が地上に降ろされる。
   豚男達、山車の横に散開。
   山車を囲んで跪く。
   御簾が開く。
   豚男2に腰掛けた優希がいる。
   優希、長髪でヒゲが長く伸びている。
   破れたドレスを着ている。
   片方の乳房を露わにし、片足を膝にかけ、半眼で跪く人々を見渡している。
   片手にワイングラスを持っている。
   赤ワインが注がれていて、中には一対の白濁した眼球が浮かんでいる。
通行人、豚男達、優希に向って合掌。
通行人、豚男達「ねんねーこ、ねんねーこ、ねんねーこや、華の園なら寝やすかろ♪」
   優希、ワイングラスに口をつける。
   眼球を舌先で弄ぶ。
   豚男達、花吹雪を散らす。
   優希、ほほえむ。
   

               「おしまい」

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posted by 朱時卍時 at 12:13| Comment(0) | 脚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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